■居住用賃貸物件
近年の賃貸住宅市場は、ご承知の通り物件を貸せる側が借りる客を選ぶ(貸し手市場)の時代から、
借りる側がより自分の理想に近い物件を豊富な物件の中から選ぶ(借り手市場)の時代へと移行しています。
激変する経済環境のもと、失業率の増加、企業の倒産など賃貸住宅を取り巻く環境は決して良くはありません。
このような環境のもと賃貸住宅、テナントを経営するオーナーは何とか入居者を確保しようと、
家賃を引き下げたり、敷金・礼金ををカットし、入居後ある一定期間は家賃を徴収しないなど、
いろいろな策を講じて入居者の確保に努めます。
しかし、家賃を引き下げる、礼金を取らないなど入居時の初期費用の軽減に努めたものの実際は、固定資産税の増加、
建物老朽化にともなう修繕費用の増加、他物件との差別化を図るために行うリフォーム費用の増加、空室期間の
長期化など建物オーナーを取り巻く経営環境は必ずしも良好に改善されるとは言えないのではないでしょうか。
空き室の原因には、賃貸住宅を例にとると、借り手側の意識の変化も上げられると思います。
借り手には持ち家を購入するまで、という方もいれば、賃貸でも長く住み続けたいと思う方もいます。
単純に金銭の損得だけでは判断できないようです。
近年の賃貸住宅の供給過剰が空き室を招いていることは確かですが、一方では常に満室に近い入居状況を
保っている物件があることも事実です。
学生向けのアパート、女性専用アパート、高齢者向けといったように入居者を絞るなど地域の特性や、
時代のニーズに合わせて設備や間取りを工夫しているところもあります。
居住用物件に限らず、テナント、事務所用物件についても同じようなことがいえると思います。
大切な事は、どのような入居希望者に対してもある程度対応できる設備、環境を整えておくこと。
つまり完全にターゲットを絞り込む事はせず、ゆとりをもった入居受け入れ体制の構築が必要だと考えます。